Midsummer|真夏|アルバート・ムーア|
耽美主義(たんびしゅぎ)とは
アルバート・ムーアは、イギリスの唯美主義運動を代表する画家です。唯美主義(耽美主義)とは、美に最上の価値を認め、それを唯一の目的とする立場のことです。形態や色彩の美しさが何よりも重視され、それによって作品の価値も決まります。一方、当時のヨーロッパでは、絵に込められた思想やメッセージを重視する風潮でしたので、耽美主義はそこに一石を投じる形となりました。
詩人のアルジャーノン・スウィンバーンは、耽美主義について、「この絵の意味は美そのものだ。存在することだけが、この絵の存在理由なのだ」という表現で説明しています。
文学の世界では、オスカー・ワイルドをはじめ、谷崎潤一郎や江戸川乱歩、三島由紀夫などが耽美主義の代表とされます。現実社会の慣習や常識にとらわれず、徹頭徹尾、美の追究を使命とする生き方です。
アルバート・ジョゼフ・ムーア
1841年9月4日 - 1893年9月25日、イングランド生まれ。青年期には新古典派の作風も見られるが、次第に耽美主義へ傾倒していった。ムーアの描く絵画の魅力は、人物に掛けられたその衣装にある。半透明で絹織物のような繊細で落ち着いたトーンに、息を呑む。東洋風の扇子であるとか、ところどころにジャポニズムの影響を感じさせる。なお、作品の登場人物は、だいたい椅子に腰掛けて寝ているか気だるそうにしている。
◆作品紹介◆
真夏 - Midsummer
題 名:真夏
作 者:アルバート・ジョゼフ・ムーア
製作年:1887年
収 蔵:ラッセル・コーツ美術館蔵
東洋風の扇子を持つ女性に挟まれて、椅子に座って居眠りをする女性。シンメトリーの構図が印象的です。官能的に透けた薄衣と鮮やかなオレンジ色のローブ、マリーゴールドの花環。観る者の直感をダイレクトに刺激してきます。美の極致を描こうとする確固とした意思を読み取ることができるでしょう。
夢見る人々 - Dreamers
題 名:夢見る人々
作 者:アルバート・ジョゼフ・ムーア
製作年:1882年
収 蔵:バーミンガム美術館蔵
稲妻 - lightning and light
題 名:稲妻
作 者:アルバート・ジョゼフ・ムーア
製作年:1892年
白昼夢 - A Reverie
題 名:白昼夢
作 者:アルバート・ジョゼフ・ムーア
製作年:1892年
黄色いマーガレット - Yellow Marguerites
題 名:黄色いマーガレット
作 者:アルバート・ジョゼフ・ムーア
製作年:1881年
収 蔵:郡山市立美術館蔵
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