落語『猫の皿』

絵高麗梅鉢文茶碗 中国・明時代(15-16世紀)根津美術館蔵



猫の皿(ねこのさら)

 1.一両の価値

現在の貨幣価値に換算すると、7万~10万円。



 2.絵高麗(えこうらい)

朝鮮から伝来した陶磁器で、桃山時代以降、茶人が抹茶茶碗として用いました。大半が、李朝で焼かれたものです。そもそも生活雑器で飯茶碗でしたが、千利休らが独特の滋味を珍重したため、高値で取引されるようになりました。「書院の茶」から「侘び寂び」を重んじる茶道へ移り変わる中で、茶器も唐物(中国製)中心から高麗物(朝鮮半島製)、和物(日本製)を良しとする価値観へと変わっていきました。




あらすじ

古美術品を扱う骨董屋。掘り出し物を探しに、江戸を離れた旅の道中。さる茶店(ちゃみせ)で、飼われている猫がメシを食べる様子を見て、仰天する。なんとそのメシ皿は、絵高麗の梅鉢で三百両はくだらない品物。


「さてはここの店主、皿の値打ちを知らないな」と、ほくそ笑む骨董屋。こう切り出した。


「自分は猫が好きで好きでしょうがない。ぜひこの猫を譲ってほしい」。しかし、店主もなかなか首を縦に振らなかった。渋る店主を納得させるため、骨董屋が値を三両までつり上げる。


ようやく承諾した店主に三両を渡し、なお言葉を継ぐ。「メシを食べるのに、食べ慣れた皿じゃないと、猫も嫌がるだろう。ついでにこの皿も譲ってくれよ」と頼むが、あっさり店主に断られる。



店 主「じつはこの皿は絵高麗の茶碗と申しまして、黙ってたって三百両以上になる品ですから」


骨董屋「なな、なんたって、そんな高価な皿で猫にメシをやるんだい?」


店 主「それがね旦那、この皿で猫にメシを食わせると、ときどき猫が三両で売れるんです」




オススメの一席

※柳家小三治(やなぎやこさんじ)[1939 - ]


参考文献:『らくごよみ』三遊亭竜楽(著)朝日新聞出版(2013/12/30)

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