にっぽんの仏像(四)天部

興福寺 - 四天王立像



「如来」「菩薩」「明王」と3種類の仏像を見てきました。


最後のカテゴリーが「天部」です。


天部は、さまざまな神さまを寄せ集めた形となっています。


「◯◯天」という神さまもいれば、「天」がまったく名前に付かない神さまもいます。いずれも「天部」グループに分類されます。




天部

仏教ができる前の時代、インドの人々が信仰していた神々がいました。バラモン教やヒンズー教の神々が仏教に取り込まれて誕生したのが、「天」というグループです。


1.梵天・帝釈天

東寺 - 梵天帝釈天像


「梵天勧請」の、あの梵天です。天部の中で、最も格上の存在。古代インドのバラモン教の最高神ブラフマーが、仏教に取り込まれたものです。


釈迦の修行時代から見守り、悟りを開いた釈迦に対して、衆生へ説法することを要請した「梵天勧請」はあまりに有名。この「梵天勧請」からの「初転法輪」の流れに、涙した人もおられるでしょう。梵天がいなければ、仏教もなかったかもしれない。


しかし、このことをお伝えすると、意外に思われるかもしれません。実は、梵天は、釈迦の解脱を阻止しようとした悪魔の化身であったようです。単に、釈迦の解脱を阻止しただけでなく、「釈迦がいくら人間に説法しても、人間には枯れることのない煩悩がある。尽きることのない欲望がある限り、悟りを開く人間は現れない」との思惑が隠れていたのだとか。



2.四天王

長瀧寺 - 四天王立像

(左から)持国天、増長天、広目天、多聞天


 2-1.持国天

東方の守護神。尊名の意味は、「国を支える者」。


 2-2.増長天

南方の守護神。「芽を出させる者」。三叉の鉾を持ち、腰に手を当てている姿が目印です。モデル立ち。


 2-3.広目天

西方の守護神。「普通ではない目を持つ者」。手には筆と巻き物、すべてを見通し書き留めるということかもしれません。


 2-4.多聞天

北方の守護神。七福神・毘沙門天の別称。「よく聞く者」。四天王のリーダー格です。手のひらには、舎利(お釈迦様の遺骨)を納めたを乗せているのが特徴です。



3.吉祥天

浄瑠璃寺 - 吉祥天立像


摩訶室利天(まかしりてん)とも言います。インド神話のラクシュミーに由来し、「美と繁栄の女神」です。中国の宮廷女性の服装をしています。金運や幸福を授けてくれる女神です。



4.弁財天

江島神社 - 妙音弁財天像


七福神のひとり。原名「サラスヴァティー」。もともとは水や農業をつかさどる神さまでしたが、智慧の女神と融合し、現在は弁舌・学問・知識・学芸の女神として崇められています。



5.大黒天

明寿院 - 大黒天半跏像


七福神のひとり。財宝の神さま。日本神話の大国主命=大黒天とする見方が有力です(大国主命をダイコクと音読み)。



6.十二神将

十二神将立像


薬師如来に随侍する12体の護法神。十二支と結びついて、それぞれが頭に干支を付けています。陰陽道においては、式神として召喚されることもあります。



7.阿修羅

興福寺 - 八部衆立像(阿修羅像)


古代ペルシャの最高神アフラ・マズダーに由来し、古代インドの『リグ・ヴェーダ』の初期には善き神でしたが、神々との闘いの中で暴力的な神へと変容していきました。興福寺の阿修羅像には、憂いを含んだ少年の面相が見て取れます。観る者の心を震わせる仏像のひとつと言えるでしょう。


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