キング・オブ・カクテル

カクテルはマティーニに始まって、マティーニに終わる



19世紀半ばにカクテルが誕生してから今日に到るまで、マティーニはカクテルの王様と語り継がれてきた。ジンベルモットだけ、というシンプルな組み合わせながら、そのバリエーションは無数に存在する。マティーニと名の付くカクテルは、200とも300とも言われる。


だんだん辛口化が進み、現在では「ドライジン4/5・ベルモット1/5」で作るのが基本分量のよう。ベルモットの量が少なければ少ないほど、当然マティーニはドライになる。後から出てくるが、辛党のチャーチルなんかは、ベルモットのボトルをチラ見しながら、ジンのストレートを飲んで「エキストラ・ドライ・マティーニ」と称していた。




完璧なマティーニとは?

マティーニ愛好家は、マティーニをどう作るべきかについて、自分独自のこだわりを持っているという。ジンの銘柄選びから、ベルモットの配分、ステアの回数、温度にいたるまで。非の打ち所がないマティーニとはどんなものかと、日夜、想像を膨らませている。



1. ウィンストン・チャーチル(イギリスの首相)

辛党で有名だったイギリスの首相ウィンストン・チャーチルは、 マティーニを超ドライにしないと気が済まなかった。そこで、チャーチルはマティーニにヴェルモットを入れず、「ヴェルモットの瓶」を見ながらジンのストレートを飲んだ。しかも横目で瓶を見ていたという。なぜなら、正面から見るとカクテルが甘くなりすぎるから。これは「チャーチル・マティーニ」と呼ばれる。



2. バーナード・デヴォート(アメリカの評論家)

厳格な伝統に従えば、マティーニには、「オリーブを入れず、レモンピールを飾り付けるべきだ」と主張する者もいる。アメリカの評論家・歴史家のバーナード・デヴォートもその一人だ。レモンピールとはレモンの皮を細長く削いだもの。香りをつけたり、お酒の中に落としたりもする。

わたしに言わせれば、マティーニにオリーブを入れる連中には手の施しようがない。たぶん、薄幸な子供時代にキュウリのピクルスを食べさせてもらえなかったため、死ぬまでピクルスの漬け汁の味に恋い焦がれつづけるのだろう。オリーブのピクルスを入れる連中をなんとかしなくては。絞殺が最上と思われる。


とは言え、最近ではどこのバーもだいたい、グリーン・オリーブを使っている。このような過激なレモン・ツイスト派が突如暴れ出すような、物騒なことはまず起きないので安心していいだろう。



3. マティーニの熱狂ぶりを揶揄するジョーク

マティーニを飲む人の中には、常人には理解しがたい頑固なこだわりを持つ者がいる。こんなジョークがある。

ひとりの男がバーに入り、25対1の思いきりドライなマティーニがほしいという。バーテンダーはびっくりするが、きっちりその比率(ジン25対ベルモット1)でマティーニを作る。グラスに酒を注ぎながら、客に尋ねる。「レモンピールはお入れしますか?」

すると、客はカウンターをバンッと叩いて怒鳴る。「おいおい、きみ!クソったれのレモネードがほしけりゃ、ちゃんとそう言うよ!」




ボンドマティーニ


「ボンドマティーニ」は、映画007シリーズのジェームズ・ボンドが注文することで有名なマティーニだ。通常のマティーニは「ジン」をベースに作るものだが、ジェームズ・ボンドは「ウォッカ」ベースのマティーニを飲むのが定番。しかも、ステアではなくシェークするのが、ボンドスタイル。



Vodka Martini. Shaken, not stirred.「ウォッカマティーニを。ステアではなく、シェークで」



[レシピ]

・ゴードンジン 3オンス(90ml)
・ウォッカ   1オンス(30ml)
・キナ・リレ   1/2オンス(15ml)

をシェークし、最後にレモンピールをグラスに入れる



☆ステア ・・・マドラーでかき回す。空気などが入らないため、ピュアな味わい

☆シェーク・・・シェークすると液体に空気が含まれる分、口当たりがまろやかになる。ただし、ステアよりキンキンに冷たくなるので、味が分かりづらいかも。


参考文献:『The Martini』Barnaby Conrad Ⅲ(著)早川書房(2010/3/25)

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