名画で辿るギリシャ神話(3)

ルーカス・クラナッハ Lucas Cranach der Ältere『アポロンとディアナ』英王室蔵



月の女神アルテミスと太陽神アポロンは双子の姉弟です。ふたりとも弓矢の名手でした。そして、女神アテナと同じく、姉のアルテミスも純潔の女神です。アルテミスは狩猟を愛する純真で高潔な女神です。純潔を汚される行為に対しては日頃の温厚さが嘘のように相手を厳しく罰しています。ある日、偶然にアルテミスの水浴びを目撃してしまった狩人がいました。激怒したアルテミスはその狩人を口のきけない鹿に変えて、狩人の連れていた50頭の猟犬に食い殺させました。


また、あるときは神を冒涜する人間の女性を得意の弓矢で射抜き、殺してしまうこともありました。アルテミスの標的になるのは特に女性が多かったことから、出産時に亡くなってしまうことを「アルテミスの矢に射られた」と表現するようになりました。



#10. 狩猟と月の神 - アルテミス

アルテミス(ギ)***ディアナ(ロ)***ダイアナ(英)

フォンテーヌブロー派 École de Fontainebleau『狩人のディアナ』ルーブル美術館


ブーシェ François Boucher『ディアナの水浴』ルーブル美術館


ルーヴル美術館を訪れたある若い絵描きが、この《ディアナの水浴》に心を奪われました。「いつかブーシェのような巨匠に自分もなりたい」と念じながら、夢中で絵に見入っていたそうです。この画家こそ、後に印象派の巨星として世間に名を轟かすオーギュスト・ルノワールでした。





#9. 弓と信託の神 - アポロン

アポロン(ギ)***アポロ(ロ)***アポロ(英)


オリュンポス十二神のひとりで最高神ゼウスの息子アポロンは、竪琴・弓矢の名手。同時に予言を司る「予言の神」とされます。絶対的な予言「デルフォイの神託」を賜るデルフォイの神託所を開設したのも彼でした。彼はゼウスの意思を人間に伝える役割を担っていたのです。力強い肉体と芸術の才に裏打ちされた精神的な優雅さから、「ギリシャ神話を体現した理想的な神」と形容されます。その点が太陽神と呼ばれるゆえんです。

ジャン・ブロック Jean-Richard Bloch『ヒュアキントスの死』サントクロワ美術館


ティエポロ Giovanni Battista Tiepolo『ヒュアキントスの死』ティッセン・ボルネミッサ美術館



美少年ヒュアキントスとアポロンはとても仲良しでした。しかし、ふたりの仲に嫉妬した西風の神ゼフュロスは、ふたりが円盤投げで遊んでいる最中に突風を吹かせて、ヒュアキントスに円盤をぶつけて殺してしまいます。円盤を投げたアポロンは大変悲しみました。


すると、亡くなったヒュアキントスから流れた血の中から、一本の赤い花が咲きます。少年の名からその花はヒアシンス(ヒュアキントス)と名付けられました。ヒアシンスは多年生の球根植物です。初夏に開花しては間もなく枯れ、次の年に備えるヒアシンスの習性に、古代ギリシア人は復活と死を重ね合わせたのかもしれません。



ラファエロ Raffaello Santi『パルナッソス山』ヴァチカン蔵


この作品はフレスコ画ですが、アポロンの住む神話上の山パルナッソスの様子です。中央で月桂樹の冠をつけて楽器を演奏しているのがアポロン。その周りには9人の女神、9人の詩人が集まっています。この丘であのデルフォイの神託を得ることができました。

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