The Birthday|誕生日|マルク・シャガール|

「理性が幻想を妨害することはできないし、またすべきでもない」。シャガール(1887-1985)は、幻想には限界がないことを持論としていました。ロシアのヴィテブスク・ユダヤ人街で生まれたシャガールは、パリに出てアトリエを構えます。ここで多くの芸術家と交流を持ち、ロシアに帰郷。ソヴィエト政府からも評価を受けました。その後、再びパリに移るもナチス・ドイツ軍のユダヤ人狩りを避けてアメリカへ亡命する。


国を転々とし、「自分は異邦人だった」と語るシャガール。ユダヤ人ゆえの悲痛な体験も包み込んで描く、奔放で幻想的な作風は今も変わらず人々を魅了しています。




『誕生日』 - The Birthday 

画家: マルク・シャガール Marc Chagall
Title: 誕生日 The Birthday
製作: 1915年
収蔵: ニューヨーク近代美術館(MoMA)蔵


キャンバスの外にまでにじみ出る幸福感。『誕生日』は、シャガールと妻ベラが結婚するわずか数週間前に描かれた作品。赤い絨毯に美しい花束、まさに愛に包まれたリビングルーム。「飛び上がりたくなるほどの高揚感」をシャガール自身を使って文字通り表現している。ただ、その身体表現とは裏腹に彼の表情は暗く冴えない。幸せな愛の巣と対照的に、ヨーロッパは悲惨な状況に巻き込まれていた。当時は第一次世界大戦が人々の生活に暗い影を落としており、シャガール自身もプライベートで苦労を強いられていた。そのため、悲劇と喜びの両方をここに描いたとされている。しかし、まぎれもなく本作は、生きる喜びを素直に表現した妻に捧げる詩的な愛の作品と言っていい。




『私と村』 - I and the Village

画家: マルク・シャガール Marc Chagall
Title: 私と村 I and the Village
製作: 1911年
収蔵: ニューヨーク近代美術館(MoMA)蔵


シャガールは幼い頃から幾何学が好きだった。そのため、作品には三角形などの幾何学的な要素を取り入れている。シャガール曰く、パリのキュビスムを見て、過去の幾何学好きを思い出したという。この絵には、生命の樹や十字架といった異なる文化が共存している。ロシア文化やユダヤ教の思想などが違和感なく表現されていたり、ソフトなタッチで幻想的なモチーフが連続して描かれていたり。まるでシャガールの夢の中に入り込んだかのよう。




『街の上で』 - Over the Town

画家: マルク・シャガール Marc Chagall
Title: 街の上で Over the Town
製作: 1918年
収蔵: トレチャコフ美術館蔵




『窓から見たパリ』 - Paris Through the Window

画家: マルク・シャガール Marc Chagall
Title: 窓から見たパリ Paris Through the Window
製作: 1913年
収蔵: グッゲンハイム美術館蔵

HAL's puG Blog

晴明 [HAL] によるブログ。ときどき、愛犬puGがつぶやくかも♡