L'Impératrice Eugénie|侍女に囲まれたウジェニー皇后|ヴィンターハルター|

画家: フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルター Franz Xaver Winterhalter 
Title: 侍女に囲まれたウジェニー皇后 L'IMPÉRATRICE EUGÉNIE ENTOURÉE DE SES DAMES D'HONNEUR
製作年: 1855年
収蔵: コンピエーニュ城美術館



特徴的な垂れ目、垂れ眉、なだらかな肩のライン。若き皇后ウジェニーは、フランス・ボナパルト家ナポレオン三世に嫁してまだ間もなかった。しかし、美女の誉れ高いウジェニーの顔は誰もが知っていた。


19世紀後半はそれまでになく美妃の時代だった。少々格下の国でも、身分がそう高くなくても容姿が優れている方が有利と考えられた。実際、ウジェニーは王族ではなかった。スペイン貴族の娘に過ぎず、大国フランスの皇妃としてふさわしくない。その証拠に身内のナポレオン臣下からも多少の抵抗があった。



『侍女に囲まれたウジェニー皇后』


この絵を見た人はきっとこう思うにちがいない。「え?だれが主役のウジェニー皇后?」




正解はこの人でした~



ヴィンターハルターを美術史の中に位置づけるのは難しいと言われます。ヴィンターハルターに比肩しうる存在が容易に見当たらず、またどの流派にも収まりきらないからです。モデルによく似せながら実物以上に絵を引き立て、当世風の流行に華を添える巧みな手法で、当時の王侯貴族から大変好評でした。その人気はすさまじく、肖像画の依頼が殺到しすぎて多くの弟子を使うほどでした。


世間での評判が高かった一方、美術界からの評判は芳しくありませんでした。当時の美術界で評価されたのは歴史画や宗教画です。ヴィンターハルターの描く肖像画は学術的な価値が低いとして軽視されてしまいました。さらに彼が亡くなってからしばらくの間も「ロマン主義的で外面だけの浅薄なものだ」として、その芸術を真摯に取り上げられることはありませんでした。


しかし、近年になってようやく、イギリスのナショナル・ポートレート・ギャラリーやフランスのプティ・パレで大規模な展覧会で脚光を浴びるようになります。現在その作品はヨーロッパ、アメリカの第一級の美術館で展示されています。再評価の機運が高まっているわけです。



バルブ・ドゥ・リムスキー=コルサコフ夫人の肖像(1864年、オルセー美術館蔵)
Madame Barbe de Rimsky Korsakov



皇妃エリザベートの肖像(1865年、シシィ博物館蔵)
Kaiserin Elisabeth in Balltoilette mit Diamant Sternen im Haar




◆フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルター(Franz Xaver Winterhalter):1805年4月20日生 - 1873年7月8日没。ドイツ生まれ。ヨーロッパ中の貴族や皇室の華やかな宮廷肖像画を描き、成功を収める。新古典主義・ロマン主義・新ロココ調をバランスよく取り入れた作風で、モデル実物の魅力を最大限に引き出すところが特徴的です。その華麗な演出を加えた優美で香ばしい作品は、ヴィクトリア女王にも愛されました。美術界からの評判や死後の評価は悪かったものの、貴族たちに愛された画家は他に類を見ません。



参考文献:『運命の絵』中野京子(著)文藝春秋社(2017/03/10)

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