進化論の基礎知識(1)キリンの首はなぜ長いのか


いまやダーウィンの自然淘汰説は、

社会学、経済学、心理学、恋愛から文化に至るまで、

あらゆる出来事の根底をなす考え方となった


事象の複雑化する現代は日々競争である

自分の強みがどこにあり、どの分野でどういった方策を取るべきか、

自分が身を置く環境をよく分析し、適切な生存戦略を取らなければ、

あっという間に競争からあぶれてしまう



それは、望む未来を得られないばかりか、

もっと悪いことに、自らの存在意義を見つけ出せなければ、

いずれ周りからあなたが軽視されることだってあり得る


これは決して大げさな表現ではない

もはや「進化論を知らなかった」では済まされない時代に直面している



1. 進化論の夜明け

19世紀になるまで、多くの人々が「人間の起源は神の創造によるもの」と信じて疑わなかった


なぜ人間が受精卵から生まれるのかという問いには、

受精卵の中に「ミニチュア人間」が入っているためだと考えられていた

この小さな人間は「ホムンクルス」と呼ばれる、

親と同じ形をしたミニチュアがその形を維持したまま生育するとされた


ホムンクルス図(右:精子の中にヒト型)



その時代にあって、

ジャン-バティスト・シュヴァリエ・ド・ラマルクは、

はじめて「生物は進化する」と唱えた


ラマルクの提唱した理論は2つ

1)用不用説:よく使用する器官は発達し、反対に使用しなくなった器官は次第に縮小・退化する

2)獲得形質の遺伝説:その動物が生涯の間に身につけた形質(獲得形質)は子孫に受け継がれる



ラマルクの進化論をキリンであらわすと、

キリンの首が長いのは

高い所に生えている葉っぱを食べようとして

首を伸ばしていたから

となります


彼の主張の本質は、生物は主体的に環境へ適応するとした点にあり、


ラマルク自身の言葉を借りるなら、こう表現できる

環境が生物の習性に影響を与え
生物の習性が生物の形状に影響を与える


しかし、この獲得形質の遺伝は疑問視されている

つまり、仮に親キリンの首が伸ばせたとしても、

それが子キリンに受け継がれる可能性は低い



2. 誰であれダーウィンから始めなければならない


『種の起源』でおなじみのチャールズ・ダーウィンは、ラマルクの後に登場した


その主張の特徴を挙げると

・すべての子が、生まれ出た生息環境で生き残ることはできない(生存闘争)
・生き残る確率に、変異による差がある(自然淘汰)


ダーウィンの自然淘汰はとてもシンプルで強力なものだ

つまり、こういうことになる


生物には体の外見や構造、行動に違いがある

これらは無作為に生じるものだが、ときに有利に働いたり、不利に働いたりする

生きるのに有利な特徴を持つ個体は、生き延びる可能性が上がる

そうするとその特徴を持つ子孫が増えていく

反対に不利な特徴を持つ個体は淘汰されていく



先のキリンで言い換えると

キリンの祖先は首の長さがまちまちで、長いものも短いものもいた

しかし、生存闘争と自然淘汰によって首の短いキリンは淘汰された

(首の長いキリンが先にエサを手に入れる)

最終的に首の長いキリンが生き残った

だから、キリンの首は長い



現代の主要な進化思想は、

ダーウィンの自然淘汰説に遺伝学を合体させた「ネオダーウィニズム」

または、それに部分的な異議を唱える学派など、

ダーウィンを土台にして、進化論の検討は続いている



3. 生物は環境の奴隷なのか


ラマルクとダーウィンに共通するのは、

生物はその環境でより有利になるよう変化する、ということ


一方その違いは、

ラマルク:環境が生物に影響を与え、生物の形態を変化させる

ダーウィン:生物には個体差があり、環境に適応できたものが生き残る



先ほど、ラマルクの獲得形質の遺伝は否定されている、と述べた

しかし、分子生物学における多くの発見により、現在は見直されている

その鍵は「エピジェネティクス」にある

詳しくは次回に譲ろうと思う



HAL ლ(´ڡ`ლ)



参考文献:『眠れなくなる進化論の話』技術評論社

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