怪談は究極の人情噺・下巻


>>怪談は究極の人情噺・上巻 から続き



落語における怪談噺

「皿屋敷」「野ざらし」「死神」をご紹介



1. 皿屋敷(お菊の皿)

お菊さんの亡霊が井戸に現れて、「いちまーい、にまーい...」と皿を数える例のアレ


[あらすじ]

町内のモノ好きな若者達が番町皿屋敷へお菊の幽霊見物に出かける。

出かける前にご隠居から「お菊の皿を数える声を九枚まで聞くと死んでしまうから、六枚ぐらいで逃げ出せ」と教えられる。若者達は隠居の教えを守り、六枚まで聞いたところで皿屋敷から逃げ出してきた。たたりは恐ろしいが、お菊があまりにもいい女だったので若者達は、翌日も懲りずに皿屋敷へ出かけていく。

数日もすると美しい幽霊・お菊の噂は広まり、翌日はもっと多くの者がお菊を見に行く。こうして見物人の数は日ごとに増えていき、とうとう見物人は百人にまで膨れ上がった。


今日もお菊の皿数え。いつものようにお菊が「一枚、二枚......」と数え出す。六枚目を数えたところで、客たちも「そろそろだな」と逃げようとする。ところが客席のあまりの混雑ぶりに、いつものように逃げられなくなってしまう。そうこうしている内に、ついに聞けば死ぬと言われる九枚まで数える声を聞いてしまう。

しかし何も起こらない。よく聞いてみるとお菊は「十枚、十一枚......」と数え続けている。客たちが呆気にとられる中、十八枚まで数えたところで、お菊は「これでおしまい」と言って井戸の中に入ろうとする。

見物人の一人が「お菊の皿は九枚と決まっているだろう。なぜ十八枚も数えるんだ」と聞くと、お菊は「明日は休むので、二日分数えました」と答えた。



2. 野ざらし

複数の要素が掛け合わさって、オチの分かりにくさがある。先にいくつか解説を。

・幇間持ちは歴史的に男性の職業だった
・かつて和太鼓には馬の皮が張られていた
・馬の骨とは素性のはっきりしない人のたとえ
・幇間(たいこ)と太鼓を掛けている


[あらすじ]

ある夜、八五郎が長屋で寝ていると、女嫌いで知られた隣人の尾形清十郎の部屋から女の声が聞こえてくる。翌朝、八五郎は尾形宅に飛び込み、問いただす。あまりの八五郎のしつこさに観念した清十郎は、事の真相を話す。「あれは、この世のものではない。向島(隅田川)で魚釣りをした帰りに、野ざらしのしゃれこうべ(頭蓋骨)を見つけ、哀れに思ってそれに酒を振りかけ、手向けの一句を詠むなど、ねんごろに供養したところ、何とその骨の幽霊がお礼に来てくれた」と語る。それを聞いた八五郎は興奮した様子で「あんな美人が来てくれるなら、幽霊だってかまわねぇ」と叫び、尾形の釣り道具を借り、酒を買って向島へ向かった。

八五郎が釣り糸を垂らすも骨は釣れず。釣りはあきらめ、近くの草むらを手でかきわけて、なんとか骨を見つけ出す。八五郎は供養の酒を全部それにかけてから、自宅の住所を言い聞かせ、「今晩きっとそこに来てくれ」と願う。


この様子を、近くの屋形船から聞いていたのが幇間の新朝(しんちょう)。八五郎が普通の生きている女とデートの約束をしていると勘違い。そこで女と会う場面に乗り込んで祝儀をもらおうと、八五郎宅を訪ねる。

一方、女の幽霊が来ると期待していた八五郎は、新朝を見て驚き、「誰だ」とたずねる。

「あたしゃ、シンチョウって幇間(タイコ)」

「なに?新町(=浅草新町)の太鼓? あぁ、あれは馬の骨だったか」



3. 死神

噺家によって、サゲにいくつかパターンがある


[あらすじ]

何かにつけて金に縁がなく、子供に名前をつける費用すら事欠いている男。ふと「俺についてるのは貧乏神じゃなくて死神だ」と言うと、なんと本物の死神が現れてしまう。仰天する男に死神は「お前に死神の姿が見えるようになる呪いをかけてやる。もし、死神が「病人の枕元」に座っていたらそいつは駄目。反対に「足元」に座っていたら助かるから、呪文を唱えて追い払え」と言い、医者になるようアドバイスして死神は消えた。 

半信半疑だったが、ある良家の跡取り娘の病を治したことで、男は医者として有名に。富豪となったが「悪銭身に付かず」ですぐ貧乏に逆戻り。おまけに病人を見れば、今度は死神がいつも枕元に。これでは呪文が効かない。あっという間に以前と変わらぬ状況になってしまった。


困っていると、さる大店からご隠居の治療を頼まれた。行ってみると死神は枕元にいる。今度もダメかと諦めかけたが、三千両という報酬に目がくらむ。そこで、男は死神が居眠りしている間に布団をクルッと半回転。強引に死神の位置を入れ替えて、呪文を唱えてたたき出してしまう。

大金をもらい大喜びで帰宅する男だったが、途中で怒った死神に捕まり大量のロウソクの灯る洞窟へ連れてこられた。聞くとみんな人間の寿命だという。「じゃあ俺は?」と聞く男に、死神は今にも消えそうなロウソクを指差した。いわく「お前は金に目がくらみ、自分の寿命をご隠居に売り渡したんだ」。


ロウソクが消えればその人は死ぬ、パニックになった男は、死神から渡されたロウソクで寿命を継ぎ足そうとする。が、手が震えてうまくいかない。「ほぉら早くしろよ、震えると消えるよ。へへへ・・・消えるよ。あぁ、消える......」


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